「この騎手は、この厩舎の馬に乗るとよく走る」。競馬ではよくそう言われますが、その組み合わせを買い続けたら本当に儲かるのでしょうか。騎手と厩舎の相性は、見方を間違えると、儲からない組を「相性が良い」と思い込んでしまいます。
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この記事について
ここでは、競馬でよく言われる「騎手と厩舎(調教師)の相性」を、回収率で調べるやり方をまとめました。あわせて、私が中央競馬の3年分のデータで調べた、相性の良い騎手と調教師の組み合わせを、栗東と美浦に分けてトップ10で載せています。
先に答えを書きます。2023年10月15日〜2026年10月12日の中央競馬のべ141,657頭を数えると、この記事の並べ方(手順4)で1位になった組は、栗東では高杉吏麒騎手×千田輝彦厩舎(66頭・単勝回収率201.8%・複勝回収率165.3%)、美浦では田辺裕信騎手×中舘英二厩舎(89頭・単勝回収率127.4%・複勝回収率125.5%)でした。
この記事に出てくる数字の読み方です。
- 単勝回収率=その組の馬の単勝を100円ずつ全部買ったとき、払い戻しが買った金額の何%になったか。100%を超えていれば、買い続けてプラスだったことになります。
- 複勝回収率=同じことを複勝(3着以内に来れば当たる馬券)で数えた数字です。
- 複勝率=その組の馬が3着以内に来た割合です。
比べる相手として、同じ3年間に中央競馬の全部の馬を買った場合の回収率は、単勝回収率71.7%・複勝回収率72.3%でした。何も考えずに全部買うと、100円が72円くらいに減るということです。
騎手と厩舎の相性は、勝率ではなく回収率で見ます
騎手と厩舎の相性というと、「この厩舎の馬にこの騎手が乗るとよく勝つ」という勝率の話になりがちです。ただ、勝率が高い組は、もともと強い馬に乗っていて人気にもなっている組なので、買っても儲かるとは限りません。
たとえば栗東の松山弘平騎手×杉山晴紀厩舎は、121頭で35勝、3着以内に来た割合(複勝率)は53.7%もあります。それでも複勝回収率は100.9%で、ほぼ買った金額が戻ってくるだけでした。よく来る組は人気になりやすく、そのぶん配当が安くなりがちです。
馬券で知りたいのは「この組を買い続けたらプラスになるか」です。だから私は、騎手と厩舎の相性を単勝回収率と複勝回収率の両方で見ています。
騎手と厩舎の相性の調べ方は5つの手順です
私が今回、中央競馬の騎手と調教師の組み合わせを調べたときの手順は、次の5つです。データの集計ができるソフトがあれば、騎手と調教師の2つを条件にして成績を数えることで、同じように調べられます。
- 手順1:期間を直近3年にする。騎手は年ごとに乗る馬も頼まれる厩舎も変わります。古い年まで混ぜると、若手騎手の新人のころの成績まで入ってしまうので、騎手の成績は最大でも3年分にしています。
- 手順2:頭数の少ない組を外す。今回は、3年間でその組の馬が50頭以上走った組だけを残しました。
- 手順3:単勝と複勝の両方で100%を超えた組だけを残す。片方だけ100%を超えた組は外しました。
- 手順4:数字が安定している順に並べる。回収率の高い順ではなく、複勝回収率が低めに出た場合を見込んでも高い順に並べました。
- 手順5:引退した騎手と調教師を外す。どんなに数字が良くても、もうレースに出てこない組は馬券に使えません。
このうち、結果がいちばん大きく変わるのは手順2と手順4です。次の節から、この2つの手順を数字で説明します。
手順2:頭数で絞ると、残る組はぐっと少なくなります
3年間の中央競馬で、現役の騎手と調教師の組み合わせは11,366組ありました。このうち単勝回収率と複勝回収率の両方が100%を超えた組は、683組もあります。
ところが、この683組のうち362組は、3年間で1〜9頭しか走っていない組です。1〜9頭しか走っていない組は、人気薄の馬が1回勝つだけで回収率が100%を大きく超えます。こうした組は、相性が良いのか、1回の配当が大きかっただけなのかを見分けられません。
そこで、頭数の足切りを変えながら、残る組の数を数えました。

▲ 頭数の足切りを上げるほど、騎手×調教師の組の数(灰色)も、単勝・複勝とも回収率100%を超えた組の数(赤)も減ります。全部の11,366組・683組より、50頭以上では328組・33組まで少なくなりました。
▼ 2023年10月15日〜2026年10月12日の中央競馬で、現役の騎手と調教師の組み合わせだけを数えた表です(3年間に走った頭数で絞っています)
| 3年間に走った頭数 | 騎手×調教師の組の数 | 単勝回収率と複勝回収率がどちらも100%超えの組の数 |
|---|---|---|
| 1頭以上(全部) | 11,366組 | 683組 |
| 10頭以上 | 3,177組 | 321組 |
| 30頭以上 | 813組 | 90組 |
| 50頭以上 | 328組 | 33組 |
| 100頭以上 | 101組 | 8組 |
今回は50頭以上を足切りにしました。50頭以上で単勝・複勝とも100%を超えた33組は、調教師の所属で分けると栗東が20組、美浦が13組です。100頭以上まで上げると8組しか残らず、栗東と美浦でトップ10を作れなくなるので、50頭にしています。
手順4:回収率の高い順ではなく、安定している順に並べます
単勝回収率の高い順にそのまま並べると、栗東の1位は鮫島克駿騎手×牧田和弥厩舎(65頭・単勝回収率502.2%)、美浦の1位は原優介騎手×萱野浩二厩舎(72頭・単勝回収率428.9%)になります。どちらも見事な数字ですが、単勝回収率は大きな配当の1勝で一気に上がるので、順番がそれだけで決まってしまいます。
そこで私は、複勝回収率をもとに、数字が下に振れた場合を見込んでも高い組から順に並べました。3着以内に来る回数が多くて、ばらつきの小さい組ほど上に来る並べ方です。この並べ方だと、美浦の1位は田辺裕信騎手×中舘英二厩舎になります。89頭で15勝、複勝率は46.1%で、単勝回収率127.4%・複勝回収率125.5%と、両方がそろって高い組です。
▶ 条件をそろえて比べないと見かけの差にだまされる、という考え方は「競馬のデータ分析のやり方|条件をそろえて見かけの差を見抜く5手順」にくわしく書いています。
栗東の騎手と厩舎の相性トップ10
調教師が栗東所属の組から、上の5つの手順で選んだトップ10です。

▲ 栗東の騎手×調教師のトップ10。2023年10月〜2026年10月の中央競馬で、50頭以上走り、単勝回収率と複勝回収率の両方が100%を超えた組を、数字が安定している順に並べました(2026年10月14日にXで出した画像です)。
▼ 2023年10月15日〜2026年10月12日の中央競馬で、調教師が栗東所属の騎手×調教師トップ10だけを数えた表です
| 順位 | 騎手×調教師 | 頭数 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 高杉吏麒×千田輝彦 | 66頭 | 33.3% | 201.8% | 165.3% |
| 2 | 岩田望来×千田輝彦 | 89頭 | 40.4% | 114.3% | 136.1% |
| 3 | 田山旺佑×須貝尚介 | 51頭 | 37.3% | 138.0% | 152.4% |
| 4 | 松山弘平×杉山晴紀 | 121頭 | 53.7% | 119.8% | 100.9% |
| 5 | 北村友一×吉岡辰弥 | 67頭 | 47.8% | 167.6% | 109.6% |
| 6 | 田口貫太×鈴木孝志 | 83頭 | 24.1% | 257.6% | 129.2% |
| 7 | 松若風馬×杉山晴紀 | 74頭 | 37.8% | 126.5% | 100.9% |
| 8 | 国分恭介×牧浦充徳 | 120頭 | 29.2% | 164.2% | 112.5% |
| 9 | 松若風馬×牧田和弥 | 78頭 | 24.4% | 101.5% | 117.9% |
| 10 | 鮫島克駿×牧田和弥 | 65頭 | 32.3% | 502.2% | 178.9% |
栗東では、千田輝彦厩舎が高杉吏麒騎手と岩田望来騎手の2人で1位と2位に入りました。杉山晴紀厩舎(松山弘平騎手・松若風馬騎手)と牧田和弥厩舎(松若風馬騎手・鮫島克駿騎手)も、2人の騎手でトップ10に入っています。
美浦の騎手と厩舎の相性トップ10
調教師が美浦所属の組から、同じ手順で選んだトップ10です。

▲ 美浦の騎手×調教師のトップ10。選び方は栗東と同じです(2026年10月14日にXで出した画像です)。
▼ 2023年10月15日〜2026年10月12日の中央競馬で、調教師が美浦所属の騎手×調教師トップ10だけを数えた表です
| 順位 | 騎手×調教師 | 頭数 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 田辺裕信×中舘英二 | 89頭 | 46.1% | 127.4% | 125.5% |
| 2 | 菊沢一樹×菊沢隆徳 | 268頭 | 31.0% | 159.4% | 111.5% |
| 3 | 荻野極×伊坂重信 | 89頭 | 34.8% | 119.4% | 143.9% |
| 4 | 荻野極×鹿戸雄一 | 125頭 | 32.8% | 137.8% | 104.6% |
| 5 | 大野拓弥×松山将樹 | 108頭 | 31.5% | 268.0% | 135.6% |
| 6 | 菅原明良×小島茂之 | 89頭 | 28.1% | 201.0% | 104.9% |
| 7 | 石川裕紀人×奥村武 | 67頭 | 14.9% | 263.1% | 131.9% |
| 8 | 吉田豊×竹内正洋 | 61頭 | 29.5% | 103.0% | 103.9% |
| 9 | 石田拓郎×新開幸一 | 198頭 | 12.1% | 375.1% | 116.4% |
| 10 | 長浜鴻緒×手塚貴久 | 77頭 | 19.5% | 101.4% | 110.9% |
美浦では、菊沢一樹騎手×菊沢隆徳厩舎が268頭と、トップ10の中でいちばん多く走っている組です。荻野極騎手は、伊坂重信厩舎と鹿戸雄一厩舎の2つの厩舎でトップ10に入りました。
トップ10に入った騎手と調教師は、全員が現役です
手順5のとおり、トップ10に入った騎手と調教師が引退していないかを、2026年10月22日に確かめ直しました。トップ10の20組に出てくる調教師17人は、全員が2026年10月12日以降のレースにも馬を出しています。70歳の定年で2027年2月末に引退する調教師もいません。騎手も全員が現役です。
予想での使い方:同じトップ10でも「堅実な組」と「一発のある組」があります
トップ10に入った20組は、どれも単勝・複勝とも回収率が100%を超えていますが、来方はかなり違います。複勝率と単勝回収率を並べると、それがよく分かります。

▲ 栗東(赤い丸)と美浦(青い四角)のトップ10を、横に複勝率、縦に単勝回収率で並べた図です。右にあるほど3着以内によく来る組、上にあるほど単勝の配当で稼いでいる組です。
- 堅実に3着以内へ来る組=松山弘平騎手×杉山晴紀厩舎(複勝率53.7%)や、田辺裕信騎手×中舘英二厩舎(複勝率46.1%)。2頭に1頭くらいの割合で3着以内に来ています。
- 一発のある組=石田拓郎騎手×新開幸一厩舎は、198頭で8勝・複勝率12.1%ですが、単勝回収率は375.1%です。3着以内に来るのは8頭に1頭くらいでも、来たときの配当が大きい組です。
出馬表でトップ10の組を見つけたら、堅実な組は3着以内に来る候補として、一発のある組は人気薄でも印を回す候補として見る、という使い分けができます。どちらの組か分かっていれば、続けて外れたときにも慌てずにすみます。
▶ 騎手×調教師のほかにも、回収率100%を超えた条件をまとめた「回収率100%超えファクター集」もあわせてどうぞ。
まとめ:騎手と厩舎の相性は、頭数と回収率の両方で見る
- 騎手と厩舎の相性は、勝率ではなく単勝回収率と複勝回収率の両方で見る
- 期間は直近3年、頭数は50頭以上に絞る(1〜9頭の組は、1回の配当で100%を超えてしまう)
- 回収率の高い順ではなく、数字が安定している順に並べる
- 引退した騎手と調教師を外す
- 同じトップ10でも、堅実な組と一発のある組で使い方を変える
中央競馬の全部の馬を買えば、単勝回収率71.7%・複勝回収率72.3%に落ち着きます。その中で、3年間に50頭以上走って単勝・複勝とも100%を超えた騎手と調教師の組は、栗東で20組、美浦で13組ありました。こうした組を知っているだけで、出馬表の見え方は変わります。私は毎週150万円を馬券に賭けながら、こうした回収率の数字を1つずつ確かめて、このブログとXで公開しています。次の調べものも出していきますので、ぜひ一緒に追いかけてください。
この内容を実際に使った週の実戦記録(買い目と収支つき)はこちらです。→ 競馬の馬場読みはAIだけでは難しい|東京芝は外が複勝率31.9%




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