こんにちは、横けんです。
1日にたくさん乗る騎手の馬を、メインレースでもそのまま買っていいのでしょうか。1日10鞍以上乗る騎手は、メインレースだけ成績が落ちます。複勝の回収率でいうと71.8%で、同じ人気の馬を買った場合の77.0%より5.2%低いという結果でした(人気の高い馬に乗れば成績が良いのは当たり前なので、同じ人気の馬どうしで比べています)。ただしG1で対象になった騎乗は163件しかなく、G1でも落ちるかどうかは、この数では言い切れません。
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この記事の要点(先に結論)
- 1日10鞍以上乗る騎手は、メインレースだけ成績が落ちます。同じ日のメイン以外のレースでは落ちません
- 落ち方は乗るほど深くなります。10鞍で−1.4%、11鞍で−2.6%(乗った馬と同じ人気の馬の複勝率を平均した値との差)
- 複勝の回収率でいうと、10鞍以上の騎手は71.8%。同じ人気の馬を買った場合の77.0%より5.2%低いという結果でした
- ★ただしG1だけは判断できません。この傾向は見えませんでしたが、G1で対象になった騎乗は163件しかなく、この数では言い切れません
集計期間: 2021年2月〜2026年7月/中央競馬 259,785騎乗/複勝は実際の払戻データで計算
メインレースだけを切り出すと、こうなりました
まず結果です。メインレース(11R)だけを取り出して、 その騎手がその日に何鞍乗っているかで分けました。
表を見る前に、言葉の意味を1つだけ説明させてください。「人気から期待される複勝率」という言葉が出てきます。
まず、こういう事実があります。
- 1番人気の馬は、およそ65%が3着以内に来ます
- 8番人気なら、13%くらいです
ということは、1番人気ばかりに乗せてもらえる騎手の複勝率が高いのは、当たり前ですよね? 腕がいいから来ているのか、いい馬に乗っているから来ているのか、区別がつきません。
そこで、その騎手が乗った馬を1頭ずつ見ていきます。 1番人気なら65%、8番人気なら13%——というふうに、 「この人気なら、これくらいは来て当たり前」という数字を全部足し合わせ、乗った馬の頭数で割ります。
これが「人気から期待される複勝率」です。 その騎手の乗り馬の顔ぶれだけで決まる、合格ラインのようなものだと思ってください。
あとは引き算です。
実際の複勝率 − 合格ライン = 表の「差」
プラスなら合格ラインを超えた(人気以上に走った)。
マイナスなら届かなかった(人気ほど走らなかった)。
これでいい馬に乗っているかどうかの差が消えて、純粋な上乗せぶんだけが見えます。
▼ メインレースで騎手が乗った馬だけを数えた表です。騎手のその日の騎乗数別に、複勝率と人気から期待される複勝率を比べています。
| その日の騎乗数 | 騎乗件数 | 平均人気 | 実際の複勝率 | 人気から期待される複勝率 | 差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1鞍 | 893 | 9.5番 | 15.0% | 14.9% | +0.1% |
| 2鞍 | 1,485 | 9.3番 | 15.2% | 16.0% | −0.8% |
| 3鞍 | 2,104 | 9.2番 | 16.3% | 16.6% | −0.3% |
| 4鞍 | 2,494 | 8.7番 | 19.2% | 18.5% | +0.7% |
| 5鞍 | 2,864 | 8.3番 | 19.5% | 19.5% | +0.0% |
| 6鞍 | 2,982 | 7.8番 | 22.2% | 21.6% | +0.7% |
| 7鞍 | 3,049 | 7.6番 | 21.4% | 22.3% | −0.9% |
| 8鞍 | 2,781 | 7.4番 | 23.7% | 22.8% | +0.9% |
| 9鞍 | 2,199 | 7.2番 | 23.1% | 23.2% | −0.2% |
| 10鞍 | 1,365 | 7.0番 | 23.2% | 24.6% | −1.4% |
| 11鞍 | 720 | 7.0番 | 22.1% | 24.7% | −2.6% |
| 12鞍 | 204 | 6.7番 | 18.1% | 25.2% | −7.1% |
赤=良い 青=悪い (色が濃いほど差が大きい)
1鞍から9鞍までは、プラスとマイナスがバラバラで、差らしい差がありません。10鞍から落ちはじめて、乗るほど深くなります。
12鞍の−7.1%が目を引きますが、ここで対象になった騎乗は204件しかありません。数が少ないと数字は大きく振れます。この記事の主役は10鞍と11鞍で、12鞍は参考として載せています。
メインレース以外では、落ちていません
ここが今回いちばん大事なところです。同じ騎手の、同じ日の中で比べました。
▼ その日にたくさん乗った騎手の馬だけを数えた表です。同じ騎手の同じ日のメインとメイン以外で、複勝率が人気から期待される値をどれだけ上回ったかを比べています。
| その日の騎乗数 | メインレース | 同じ日のメイン以外 | 差 |
|---|---|---|---|
| 9鞍 | −0.2% | +0.2% | −0.4% |
| 10鞍 | −1.4% | +0.2% | −1.6% |
| 11鞍 | −2.6% | −0.1% | −2.4% |
| 12鞍 | −7.1% | +3.0% | −10.1% |
赤=良い 青=悪い (色が濃いほど差が大きい)
同じ騎手が、同じ日に、メイン以外のレースでは普通に走っているのに、メインだけ落ちています。 だから「たくさん乗る騎手は下手」という話ではありません。メインが特別なのです。
★ここを読み違えないでください
回収率だけ見ると、こうなります。
▼ メインレースで騎手が乗った馬だけを数えた表です。全体と、たくさん乗る騎手の馬について、複勝・単勝それぞれの回収率を並べています。
| その日の騎乗数 | 騎乗件数 | 平均人気 | 複勝の回収率 | 単勝の回収率 |
|---|---|---|---|---|
| メインレース全体 | 23,140 | 8.0番 | 75.9% | 76.2% |
| 10鞍 | 1,365 | 7.0番 | 75.0% | 70.1% |
| 11鞍 | 720 | 7.0番 | 74.2% | 101.9% |
| 12鞍 | 204 | 6.7番 | 41.7% | 42.6% |
赤=良い 青=悪い (色が濃いほど差が大きい)
10鞍・11鞍の複勝の回収率は74〜75%。メイン全体の75.9%と、ほとんど変わりません。 これだけ見ると「普通じゃないか」と思いますよね?
ですが平均人気を見てください。 メイン全体が8.0番人気なのに、10鞍・11鞍の騎手は7.0番人気の馬に乗っています。 人気順が1つ上の馬に乗っているのです。
平均より人気の高い馬に乗っているのだから、本来は複勝の回収率も平均より良くなるはずです。 それが複勝では平均並みで止まっている。これが「人気ぶんの得を落としている」という意味です。
人気の違いを差し引かないと、複勝の回収率では、この損は見えません。なお表の単勝の回収率は、10鞍70.1%・11鞍101.9%と大きく違います。ただし11鞍の対象騎乗は720件と少なめです。この節で話しているのは複勝のほうです。
回収率でいうと、どれくらいの差なのか?
複勝率の差だけだと実感がわきませんよね? 複勝の回収率で言い直します。
比べるのは、この2つの複勝回収率です。
- 実際の複勝回収率(その騎手の馬を複勝で買い続けた場合)
- 同じ人気の馬を買った場合の複勝回収率(=さっきと同じ「合格ライン」)
▼ メインレースで騎手が乗った馬だけを数えた表です。騎乗数別に、複勝と単勝それぞれの実際の回収率を、同じ人気の馬を買った場合の合格ラインと比べています。
| その日の騎乗数 | 騎乗件数 | 実際の 複勝回収率 | 同じ人気の馬なら (複勝の合格ライン) | 差(複勝) | 実際の 単勝回収率 | 同じ人気の馬なら (単勝の合格ライン) | 差(単勝) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1〜5鞍 | 9,840 | 75.7% | 74.9% | +0.8% | 84.1% | 74.7% | +9.4% |
| 6〜9鞍 | 11,011 | 76.9% | 76.5% | +0.4% | 68.9% | 77.2% | −8.3% |
| 10鞍 | 1,365 | 75.0% | 77.0% | −2.0% | 70.1% | 77.5% | −7.4% |
| 11鞍 | 720 | 74.2% | 76.7% | −2.5% | 101.9% | 77.1% | +24.8% |
| 12鞍 | 204 | 41.7% | 78.1% | −36.4% | 42.6% | 79.0% | −36.4% |
| 10鞍以上をまとめて | 2,289 | 71.8% | 77.0% | −5.2% | 77.7% | 77.5% | +0.2% |
赤=合格ラインを超えた 青=届かなかった
9鞍までは、実際の複勝の回収率が複勝の合格ラインとほぼ同じです。 合格ラインを0.8%、0.4%上回っているだけ。誤差の範囲です。
ところが10鞍は、合格ラインより2.0%低い。11鞍は2.5%低い。 10鞍以上をまとめると、合格ラインより5.2%低いという結果でした。なお単勝で見ると、10鞍以上をまとめた合格ラインとの差は+0.2%で、合格ラインに対する損は出ていませんでした(11鞍の日の単勝の回収率は101.9%)。この記事の「落ちる」は、複勝の話です。
複勝の回収率で5%の差というのは、複勝を1万円買っていたら、合格ラインで得られる払戻額より、実際の払戻額が500円ぶん少ないことにあたります。
複勝を買うのが1回だけなら、気にならない額かもしれません。ですが、これを1年くり返せばどうでしょうか? 複勝で避けられる損なら、避けたほうがいいと私は思います。
これは、たまたまではないのか?
ここまで読んで、こう思った方もいるはずです。
「たまたま、そうなっただけじゃないの?」
もっともな疑問です。私も同じことを思いました。
とくに12鞍の騎手の対象騎乗は204件しかありません。数が少ないと、数字は大きく振れます。 コインを10回投げて8回表が出ることは珍しくありませんよね? でも1万回投げて8割表なら、そのコインはおかしい。 少ない回数なら、偶然でも大きな数字が出てしまうのです。
だから3つの方法で確かめました。検証の方法を1つずつ説明します。
① 1つの数字ではなく、「並び方」を見る
「12鞍が−7.1%」——この1つの数字だけを見て「本物だ」と言うのは危険です。 たまたま出た数字かもしれません。
でも、こういう並びだったらどうでしょうか。
9鞍 −0.2% → 10鞍 −1.4% → 11鞍 −2.6% → 12鞍 −7.1%
きれいに、段々と深くなっています。
偶然で1つの数字が大きく出ることはあります。 でも4つの数字が順番どおりに並ぶことは、そう簡単には起きません。
この「段々ぐあい」を1つの数字にしたのが、これです。
▼ その日にたくさん乗った騎手の馬だけを数えた表です。騎乗数が増えるにつれ、複勝率と人気から期待される値との差がどう変わるかを比べています。
| 1鞍増えるごとに、どれだけ動くか | |
|---|---|
| メインレース | −2.20% |
| それ以外のレース | +0.79% |
「メインでは、騎乗数が1鞍増えるごとに2.20%ずつ落ちていく」という意味です。 他のレースでは逆に、0.79%ずつ上がっています。
メインだけが、はっきり下向きに並んでいるわけです。
② 「もし違う日のデータだったら」を1,000通り試す
ここがいちばん分かりにくいところなので、ていねいに書きます。
私が使ったのは2021年2月から2026年7月までのデータです。 でもこれは、たまたまこの6年ぶんを切り取っただけですよね? もし少し違う日の集まりだったら、結果は変わったかもしれません。
それを確かめるやり方があります。
手元にある日を、選び直すのです。
たとえば588日ぶんのデータがあるとします。 この588日を箱に入れて、1日引いては箱に戻し、また引いては戻し——を588回くり返します。 すると、同じ日が2回入ったり、1回も入らない日があったりする「588日ぶんの別のデータ」ができあがります。
これを1,000通り作って、それぞれで同じ計算をやり直しました。
結果はこうでした。
1,000通りのすべてで、メインは落ちていました。 いちばん浅い回で−0.63%、いちばん深い回で−3.79%。1回もプラスになりませんでした。
つまり「たまたまこの6年だったから、こう出た」のではなさそうだということです。
(選び直す単位は「その騎手のその日」まるごとにしています。 1レースずつバラバラに引くと、同じ日の似たもの同士を別々に数えることになって、 実際より安定して見えてしまうからです)
③ わざと関係を壊して、比べる
最後の確かめ方です。
騎乗数の数字を、日ごとにでたらめに入れ替えます。
12鞍乗った日に「3鞍」というラベルを貼り、3鞍しか乗らなかった日に「12鞍」と貼る。 そういう入れ替えをするわけです。 こうすると「騎乗数と成績の関係」は、完全に消えてなくなるはずですよね?
このデタラメなデータでも、さっきと同じ計算をします。データの入れ替えと再計算を1,000回くり返しました。
もし本物の傾向が偶然なら、デタラメ版でも同じくらいの数字がしょっちゅう出るはずです。
結果は、1,000回やって、本物と同じくらい落ちる形が出たのは1回だけでした。
3つの検証で同じ傾向を確かめました
- 並び方——メインだけが、きれいに下向きに並んでいた
- 別のデータを1,000通り——1回残らず、落ちていた
- わざと関係を壊す——本物ほどの形は、1,000回に1回しか出なかった
日の選び方を変えても、騎乗数との関係を壊したデータと比べても、メインで成績が落ちる傾向が残りました。
では、回収率にするとどれくらいの差なのか?
「1.4%」「2.6%」と言われても、大きいのか小さいのかは伝わりませんよね?
人気の差に置き換えます。
▼ 表に示した人気の馬だけを数えた表です。複勝率に加え、複勝と単勝の回収率も載せています。「人気が1つ上の馬との複勝率の差」は、たとえば9番人気なら8番人気の馬と比べて、複勝率がどれだけ低いかを示しています。
| 人気 | 複勝率 | 人気が1つ上の馬との複勝率の差 | 複勝の回収率 | 単勝の回収率 |
|---|---|---|---|---|
| 8番人気 | 12.8% | −3.4% | 74.0% | 75.8% |
| 9番人気 | 9.8% | −3.0% | 72.5% | 71.0% |
| 11番人気 | 6.0% | −1.8% | 69.5% | 67.0% |
| 12番人気 | 4.6% | −1.3% | 64.7% | 64.8% |
赤=良い 青=悪い (色が濃いほど差が大きい)
- 11鞍の−2.6%は、馬が8番人気から9番人気に下がるのと、ほぼ同じだけ成績が落ちるということです(複勝の回収率でいうと74.0%→72.5%)
- 10鞍の−1.4%は、11番人気から12番人気に下がるのとほぼ同じです(複勝の回収率でいうと69.5%→64.7%)
派手ではありません。ですが、出馬表で騎手の乗り鞍を数えるだけで分かる材料としては、 十分な大きさだと私は思います。
最終レースはどうなのか?
メインで落ちるなら、その後の最終レースはもっと落ちるはずですよね?
そう思って調べたら、思ったとおりにはなりませんでした。
▼ その日にたくさん乗った騎手のメインと最終の馬だけを数えた表です。複勝率と人気から期待される値との差を比べています。
| その日の騎乗数 | メイン(11R) | 最終(12R) |
|---|---|---|
| 10鞍 | −1.4% | −1.7% |
| 11鞍 | −2.6% | −3.3% |
| 12鞍 | −7.1% | +3.1% |
赤=良い 青=悪い (色が濃いほど差が大きい)
10鞍・11鞍の騎手が乗る馬は、最終でも人気から期待される複勝率を下回っています。ここはメインと同じです。最終でも乗り鞍を数えておけば、迷った馬を割り引く材料にできます。
ところが12鞍だけ、最終ではむしろ良いのです。 12鞍乗る騎手にとって最終レースは12鞍目。いちばん疲れているはずなのに、です。
ただし、最終レースの対象騎乗も204件しかありません。 「12鞍の騎手は最終で人気以上に走る」と書きたくなりますが、この数では書けません。 ここは分からないままにしておきます。
重賞ではどうなのか? G1だけ様子が違いました
ここまで「メインレース」とひとくくりにしてきました。でも11レースが必ず重賞とは限りません。 条件戦がメインの日もたくさんあります。
そこでクラスで分けて数え直しました。
重賞は1鞍ずつに割ると数が薄くなるので、10鞍以上でまとめています。
▼ その日にたくさん乗った騎手のメインの馬だけを数えた表です。クラス別に、複勝率と人気から期待される値との差を比べています。
| どんなレースか | 騎乗件数 | 平均人気 | 差(10鞍以上の騎手) |
|---|---|---|---|
| メイン11Rの条件戦 | 1,370 | 6.4番 | −2.7% |
| G2・G3 | 780 | 7.4番 | −1.9% |
| G1だけ | 163 | 9.2番 | +0.8% |
| 参考:重賞ぜんぶ(G1込み) | 943 | 7.7番 | −1.4% |
| 参考:メイン11R全部 | 2,289 | 7.0番 | −2.3% |
赤=良い 青=悪い (色が濃いほど差が大きい)
ここで、面白いことが起きました。
最初、重賞をぜんぶまとめて数えたら−1.4%にしかなりませんでした。 条件戦の−2.7%の半分です。「重賞では効かないのか」と思いかけました。
ところがG1を外して、G2とG3だけで数え直したら−1.9%。 はっきり出たのです。
G1だけにこの傾向がなく、そのせいで重賞全体の数字が薄まっていました。
なぜG1だけ違うのか? 私が考えた理由は1つです。
G1は、さすがに気合いで乗ってくるのではないか。
1年に何回も巡ってこない舞台です。その日10鞍乗っていようが、疲れていようが、 ここだけは違う——そういうことは十分にありえます。
ただし正直に書きます。G1で対象になった騎乗は163件しかありません。 G1で、その日10鞍以上乗っている騎手というのは、それだけ珍しいのです。 この数では「G1では落ちない」と言い切れません。 気合い説はあくまで私の推測で、証明できたわけではありません。
違いはもう1つ、騎手が乗る馬そのものにもあります。 10鞍以上乗る騎手がG1で乗る馬は平均9.2番人気。 条件戦のメインでは6.4番人気です。G1では格下の馬に乗せてもらっているのです。 そもそも期待されていない馬なので、落ちようがない、という見方もできます。
まとめると、条件戦のメインでも、G2・G3でも、人気から期待される複勝率をはっきり下回ります。G1だけは判断できません。はっきり出たクラスでは乗り鞍を材料にし、G1には広げない。使う場面を分ければ、予想で迷ったときに役立てられます。
これは馬券にどう使えるか?
出馬表を見れば、その騎手が今日何鞍乗るかは数えられます。だから、こう使えます。
- メインレースで、その日10鞍以上乗っている騎手を見つけたら、複勝やワイドで買うときは、少し割り引く
- 9鞍までなら、メインでも気にしなくていい
- 逆にその日たくさん乗る騎手の朝のレースは、上積みが期待できる(12鞍の騎手は1〜9Rで+3.0%)
「消し」にするほどの差ではありません。迷ったときに背中を押す材料、くらいの位置づけです。
ただ、メインは1日でいちばん検討に時間をかけるレースです。 そこで迷ったときの一押しがあるというのは、けっこう大きいと私は思っています。
この見方を、AIの材料にできるか?
ここからは私の予想AIの話です。
結論から書きます。「メインレースかどうか」という見方は、
残念ながら採用されませんでした。
▼ 予想AIに足してみた材料を数えた表です。採用されたかどうかも並べています。
| 試した形 | 結果 |
|---|---|
| メインレースかどうか(旗) | 採用されず |
| メイン以降かどうか(旗) | 採用されず |
| たくさん乗る騎手 × メイン(組み合わせ) | 採用されず |
| 騎乗数 × メイン以降(掛け算) | 採用されず |
| そのレースが1日の何レース目か (11Rなら11という数字) | 採用されました |
赤=良い 青=悪い (色が濃いほど差が大きい)
ここで、言葉をはっきりさせておきます。「何レース目か」というのは、そのレースが1日の何番目かです。メインなら11、最終なら12。騎手が何鞍目に乗っているか、ではありません。レースそのものに付いている番号です。
(前回の記事で未勝利戦に採用されたのは、「その騎手の、その日の何鞍目 ÷ その日の騎乗数」という別の材料でした。名前が似ていますが中身は違います。今回入ったのはレース番号そのものです)
そのうえで、面白いのはここです。「メインかどうか」で切るとダメで、レース番号をそのまま渡すと通りました。
しかも通り方が強かったのです。今回試した17の形の中で、いちばんはっきりしていました。 乱数を8通り変えて8回とも良くなり、2024年と2025年のどちらでも良くなりました。
理由を考えると、たぶんこういうことです。 私が「11レース目が特別だ」と決めつけて旗を立てるより、 数字だけ渡して、どこで区切るかはAIに決めさせたほうが強いのです。
1レースから12レースまでの間には、クラスも、賞金も、頭数も、出走する馬の質も、 少しずつ変わっていきます。「メインかどうか」という2択では、その流れを潰してしまう。 数字のまま渡せば、AIは自分でいちばん良い切り方を見つけます。
ここは誤解されたくないので書いておきます。AIが勝手に賢いわけではありません。 私のAIには3,784個の材料が入っていて、材料の1つ1つは今回と同じように、 思いついて、数えて、試して、生き残ったものです。 その積み重ねがあるから、レース番号という1本の数字も使いこなせるのです。
そしてこのレース番号は、すでに本番のAIに入れました。 1勝クラス以上の複勝の予想で使っています。今週から動いています。
この説を確かめたきっかけ
この記事は、前回の続きです。
前回、こう書きました。1日9鞍以上乗る騎手は、その日の終盤に成績が落ちる。 朝は人気以上に走っていた同じ騎手が、夕方には人気ほど走らなくなる。 8鞍までなら落ちません。9鞍から落ちはじめて、乗るほど深くなりました。
書き終えて、私はハッとしました。
メインレースって、1日の終盤ですよね?
しかもメインは、私たちが1週間かけて考えて、いちばんお金をかけるレースです。 そこで落ちているなら、知らないと困ります。
メインレースだけを切り出して数え直しました。 2021年2月から2026年7月までの中央競馬25万9,785騎乗が対象です。
まとめ
- 1日10鞍以上乗る騎手は、メインレースだけ成績が落ちる。同じ日の他のレースでは落ちない
- 落ち方は乗るほど深くなる。10鞍−1.4%、11鞍−2.6%
- 10鞍・11鞍の騎手はメインで平均より人気順が1つ上の馬に乗っている(7.0番人気/全体8.0番人気)。そのぶん複勝の回収率も良くなるはずなのに平均並み=複勝では人気ぶんの得を落としている
- 主役は10鞍と11鞍。10鞍以上の騎手は開催日の91.3%にいる=ほぼ毎回出会える
- 「もう1つの6年間」を1,000通り作っても、傾向は1回も消えなかった。わざと関係を壊したデータでは、本物ほど落ちる形は1,000回に1回しか出なかった
- AIの材料としては「メインかどうか」は採用されず、「そのレースが1日の何レース目か」という数字が採用された(騎手の何鞍目か、ではなくレース番号そのもの)。決めつけて旗を立てるより、数字のまま渡すほうが強かった
よくある質問
何鞍から気にすればいいですか?
10鞍からです。9鞍まではメインでもほとんど差がありませんでした(−0.2%)。10鞍で−1.4%、11鞍で−2.6%と深くなります。
どれくらい割り引けばいいですか?
11鞍なら、その馬が人気順を1つ落としたくらいに見てください(8番人気が9番人気になるのと、ほぼ同じだけ落ちます)。10鞍ならその半分ほどです。消しにするほどではありません。
回収率は平均並みなのに、なぜ「落ちている」と言えるのですか?
平均並みなのは複勝の回収率です。それでも落ちていると言えるのは、乗っている馬の人気が違うからです。10鞍・11鞍の騎手はメインで7.0番人気の馬に乗っています。メイン全体の平均は8.0番人気。人気順が1つ上の馬に乗っているのだから、本来は平均より良くなるはずです。それが複勝の回収率では平均並みで止まっている、という意味です。
疲れているだけではないのですか?
その可能性はあります。ただ、それだけでは説明がつきません。12鞍乗る騎手は、最終レース(12鞍目)ではむしろ良かったからです。純粋な疲れなら、最後がいちばん悪くなるはずです。ただし最終レースの対象騎乗は204件しかないので、断定はしません。
12鞍の−7.1%は信じていいのですか?
1つの数字としては、信じすぎないでください。対象になった騎乗は204件しかありません。ただし9鞍→10鞍→11鞍→12鞍と一直線に深くなっている流れは、「もう1つの6年間」を1,000通り作っても1回も消えませんでした。信じるべきは流れのほうです。
この情報はAIの材料に使えましたか?
「メインレースかどうか」という形では、残念ながら採用されませんでした。組み合わせも掛け算も試しましたが、どれも通りませんでした。ただし「そのレースが1日の何レース目か」という数字(11Rなら11)はしっかり採用されて、すでに本番で動いています。これは騎手の何鞍目かではなく、レースそのものに付いた番号です。決めつけて旗を立てるより、数字のまま渡すほうが強い、という学びになりました。
集計はどうやったのですか?
2021年2月から2026年7月までの中央競馬259,785騎乗。騎手ごと・その日ごとに乗った数を数え、レース番号で分けました。複勝は実際の払戻データで計算しています。たまたま同じ結果が出ただけなのかは、2つの方法で確かめました。①集計対象の日を重複を許して選び直し、「もう1つの6年間」を1,000通り作り、そのすべてで同じ結果になるか。②騎乗数をわざとでたらめに入れ替えて関係を壊したデータを1,000回作り、そこで本物ほど落ちる形が出るか。
今回の差だけで、馬券を消せるわけではありません。それでも、日の選び方を変えた検証でも同じ傾向が残ったのですから、あなたも出馬表で乗り鞍を数えるところから、メインで迷ったときの判断材料を増やせます。私も思い込みで線を引かず、数えて、試してから使います。私が先に転んでおくので、あなたは確かめられた使い道を持ち帰ってください。
▶ あわせて読みたい:騎手の1日の騎乗数で回収率は変わるのか|1鞍だけの日は複勝65%、12鞍の日は85%
▶ あわせて読みたい:1日9鞍以上乗る騎手は、その日の終盤に成績が落ちる|11鞍の日が最も明確



