騎手は1日の騎乗数が多いほど回収率が下がる説を検証|1鞍の日は複勝65%、12鞍の日は85%

パドックを歩く騎手と出走を待つ馬たちの写真に、騎手の1日の騎乗数が多いほど回収率が上がる説を検証という文字 競馬の説を検証
横けん
この記事を書いた人=横けん
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初めましての方、こんにちは!毎週150万円の実弾を馬券に突っ込む男、横けんです。

「騎手は1日の騎乗数が多いほど回収率が下がる」。そう考えました。あなたも同じようなこと、思ったことはないでしょうか。

中央競馬約26万騎乗ぶんを、1鞍から12鞍まで全部数えました。結論から言うと、私の予想は見事に外れました。

1日1鞍だけの日は複勝の回収率65%、12鞍の日は85%でした(全体は72%)。

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この記事の要点(先に結論)

  • 「騎乗数が多いほど回収率が下がる」説は外れました。「1鞍だけの日は良い、12鞍の日は悪い」と思っていましたが、データはまったく逆を示しました。
  • 1日1鞍しか乗らない騎手は、はっきり悪い。複勝の回収率65%(全体72%)、単勝59%(全体71%)。1万5千回ぶんのデータです。
  • 1日12鞍の日のほうが良い。複勝85%・単勝88%。へとへとどころではありませんでした。ただし85%は100%に届いていないので、買えば負けます。「全体(72%)より良い」という意味です。
  • ただし変わるのは両端だけ。3鞍から11鞍まではほとんど差がありません。「たくさん乗っている=好調」でもないということです。
  • この情報をAIの材料として12通り試しましたが、残念ながら採用されませんでした。理由は私が積み上げてきた3,784個の材料が、すでに同じことを言っていたからです。

集計期間: 2021年2月〜2026年7月/中央競馬 259,785騎乗/複勝は実際の払戻データで計算。初回公開: 2026年8月4日

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騎手は1日何レース乗る?騎乗数が多いと終盤に落ちる説を検証|11鞍の日が最も明確
たくさん乗る騎手は、1日の終盤に成績が落ちるのか?

1鞍から12鞍まで、全部並べます

中央競馬の1日は12レース。つまり1人の騎手が乗れるのは最大12鞍です。1鞍から12鞍まで、それぞれの成績を出しました。
▼ 中央競馬で騎手が騎乗した馬だけを数えた表です。騎手のその日の騎乗数で分けています。

その日の騎乗数のべ騎乗平均人気勝率複勝率単勝の回収率複勝の回収率
1鞍15,0928.9番5.3%16.8%59%65%
2鞍19,3349.4番4.2%14.7%69%70%
3鞍22,9209.2番4.8%15.5%69%69%
4鞍27,2528.7番5.7%17.2%72%71%
5鞍30,8358.2番6.3%19.2%74%70%
6鞍32,2147.6番7.1%22.0%72%75%
7鞍32,5647.0番8.2%23.8%65%72%
8鞍29,9286.6番9.3%26.2%77%76%
9鞍23,7786.2番10.0%27.8%74%75%
10鞍15,1705.9番10.3%28.5%74%74%
11鞍8,2505.7番9.9%29.0%70%76%
12鞍2,4485.5番11.5%32.7%88%85%
全体259,785—7.3%21.7%71%72%

赤が濃い=全体よりかなり良い 薄い赤=少し良い 薄い青=少し悪い 青が濃い=全体よりかなり悪い

複勝率だけを見ると、鞍数が増えるほどきれいに上がっています(1鞍16.8%→12鞍32.7%)。でもこれは当たり前です。たくさん乗る騎手ほど人気馬に乗っているからです(平均人気が8.9番→5.5番と下がっていくのが、その証拠)。大事なのは右2列の回収率で、こちらは両端だけが飛び出しています。

複勝率が上がっても、儲かるとは限らない

ここが一番おもしろいところです。

複勝率は1鞍の16.8%から12鞍の32.7%まで、ほぼ一直線に上がります。倍近い差です。ところが回収率は、3鞍から11鞍までずっと69%〜77%の間で横ばい。ほとんど動きません。

理由は単純で、よく来る馬は人気になって、配当が下がるからです。当たる確率が上がったぶん、もらえる金額が減る。だから手元に残るお金は変わらない。

「この騎手はよく3着以内に来るから買い」という理屈が、そのままでは通用しないのはこのためです。当たる条件と、儲かる条件は別物です。

私の予想は、なぜ外れたのか

私は「1鞍だけなら騎乗する1頭に集中できる。12鞍も乗ったらへとへとで雑になる」と考えていました。人間の感覚としては、これは自然な発想だと思います。

ところが数字は逆でした。そもそも、なぜその日1鞍しか乗っていないのか。逆に、なぜ12鞍も依頼が来るのか。そこを考えていなかったのが、私の間違いでした。

1鞍しか乗らない日

複勝の回収率65%。全体の72%より7%低い。単勝に至っては59%で、全体の71%より12%低い。ここまで下がると、買い続ければ資金は確実に削られていきます。

1鞍だけということは、その日にその馬しか依頼が来ていないということです。遠征なのか、その厩舎との付き合いなのか、事情はさまざまでしょう。ただ数字としては、買わないほうがいい側にはっきり出ています。

12鞍びっしり乗る日

複勝85%・単勝88%。全体(複勝72%・単勝71%)より13〜17%高い。1日12鞍というのは、全レースに乗るということです。それだけ多くの騎乗依頼を集めている騎手、ということでもあります。

面白いのは、これが人気馬に乗っているからではない点です。人気馬に乗れば成績が良くなるのは当たり前です。知りたいのは、人気から考えられるぶん以上に走っているかどうかです。ここでいう「人気から期待される率」は、同じ人気の馬が集計対象全体でどれくらい3着以内に来たかを基準に、対象の騎手が乗った馬の人気の内訳に合わせて平均した数字です。人気馬への騎乗が多ければ、この基準の率も高くなります。その基準と実際の複勝率を比べても、12鞍乗る騎手の騎乗馬は上回っていました。しかも複勝の回収率では、2021年から2026年まで、6年すべてで全体を上回っていました。年によってバラバラなら偶然を疑いますが、複勝の回収率は6年続けて同じ方向を向いています。

ただし、ここは正確に書いておきます。「プラス」というのは「全体より上」という意味であって、儲かるという意味ではありません。12鞍の日の複勝の回収率が100%を超えた年は、6年のうち1年だけです。
▼ その日すべてのレースに乗る騎手の騎乗馬と、全体の騎乗馬を数えた表です。年ごとの複勝と単勝の回収率を並べ、それぞれその年の全体と比べています。

年 12鞍の日の複勝の回収率 その年の全体の複勝の回収率12鞍の日の単勝の回収率その年の全体の単勝の回収率
2021年74.7%72.4%101.3%70.4%
2022年93.9%73.3%86.3%70.3%
2023年101.1%72.5%89.9%70.7%
2024年79.8%73.2%68.2%70.8%
2025年80.6%71.0%86.2%71.9%
2026年84.0%70.7%110.2%73.1%

複勝の回収率では、6年とも全体より上でしたが、100%を超えたのは2023年だけです。単勝の回収率では、2024年だけ12鞍の日(68.2%)がその年の全体(70.8%)を下回りました。12鞍の日を買えば儲かる、という話ではありません。あくまで「1鞍の日よりはずっとマシ」ということです。

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「疲れ」ではなかった。3つの疑いを潰しました

ここで、ひとつ引っかかったことがあります。

12鞍の日が良いのは、本当に「騎乗数」のおかげなのか。

ほかの理由が考えられます。3つの疑いを、順に確かめました。

疑い① 序盤に乗るから元気なだけでは?

1日の番組は、前半に未勝利戦が並びます。実際に数えました。

1R〜5Rは、9割前後が未勝利・新馬戦です。8R以降はほぼゼロ。はっきり分かれています。

だとすると、こう考えられます。序盤はまだ元気だから走るのではないか。

そこで「その日の何鞍目か」で並べ直しました。

ここで一度、私は間違えた表を出しました。全騎手をまとめて「1鞍目・2鞍目…」と並べたのです。これでは意味がありません。「1鞍目」の中に、その日1鞍しか乗らない騎手が大量に混ざるからです。一番成績が悪い層です。

騎乗数をそろえないと、比べたことになりません。やり直しました。

疑い② たくさん乗る日の終盤は、やはり疲れているのでは?

回収率で見ると、答えが出ませんでした。上がったり下がったりで、読めないのです。配当は1本の大穴で大きく動きます。だからこうなります。

そこで人気を差し引きました。「乗った馬の人気から考えて、これくらいは3着以内に来るはず」という数字と、実際を比べます。良い馬に乗っているだけなのか、腕で上積みしているのかが分かります。

すると、序盤から終盤へ成績が下がる傾向が見えました。
▼ その日に多くのレースに乗る騎手の騎乗馬だけを数えた表です。対象の騎乗数は表の見出しに示し、騎乗順で複勝率を比べています。

9〜11鞍乗る日 のべ騎乗 実際の複勝率 人気から期待される率 差
1〜3鞍目14,72730.3%29.5%+0.8%
4〜6鞍目14,72728.6%28.6%±0.0%
7〜9鞍目14,72726.4%26.6%−0.2%
10〜12鞍目3,01724.9%27.1%−2.2%

序盤は人気以上に走り、終盤は人気ほど走らない。序盤から終盤へ、実際の複勝率と人気から期待される率の差が下がっています。10鞍目以降の−2.2%は、偶然で出る大きさではありません。

そして5〜8鞍の日では、これが起きません。1〜3鞍目も、4〜6鞍目も、7〜9鞍目も、すべて±0.1%以内。ぴたりと横ばいです。

ここまで確かめた結果、疲れはありました。ただし9鞍以上乗る騎手の、10鞍目以降の騎乗馬だけです。8鞍くらいまでなら、まったく影響がありませんでした。ただ、騎乗順まで分ければ、気をつけたい場面を出馬表で確かめられます。

ここは正直に書きます。私は最初「疲れは効いていない」と書きました。間違いでした。回収率だけを見て、しかも12鞍の日という件数の少ない層で判断していたからです。人気を差し引いて、件数の多い層で見たら、答えは逆でした。

疑い③ 未勝利戦だけの話では?

最後に、クラスで分けました。
▼ その日すべてのレースに乗る騎手の騎乗馬と、全体の騎乗馬を数えた表です。クラスごとの複勝と単勝の回収率を並べ、それぞれそのクラス全体と比べています。

クラス 12鞍の日の複勝の回収率 そのクラス全体の複勝の回収率 差(複勝)12鞍の日の単勝の回収率そのクラス全体の単勝の回収率差(単勝)
1勝クラス以上87%73.8%+13.5%90.4%72.5%+17.9%
未勝利・新馬82%70.5%+11.2%84.6%69.3%+15.3%

複勝の回収率の差は、どちらのクラスでも残りました。未勝利だけの話ではありません。単勝の回収率でも、12鞍の日は1勝クラス以上で+17.9%、未勝利・新馬で+15.3%と、どちらもそのクラス全体を上回りました。

3つの疑いを確かめても、全レースに乗る騎手の複勝の回収率が全体より良いという結果は残りました。残ったのは、身も蓋もない答えです。

その日12鞍も任される騎手には、良い馬の依頼が集まっている。疲れるかどうかより、そちらのほうがずっと大きい。そういうことだと思っています。

AIの材料に使えるか

私は自作の競馬予想AIを運用しているので、こういう発見はすぐ「AIに入れられるか」を考えます。判断の順番はこうです。

① 前日に分かる情報か

使えます。その騎手が今日何鞍乗るかは、出馬表を見れば前日に数えられます。レースが終わってから分かる情報だと、AIの材料には使えません(答えを見ながらテストを解くのと同じで、実戦で通用しなくなる)。この点はクリアしています。

② 誰でも確かめられるか

確かめられます。特別なデータは要りません。出馬表を並べて数えるだけです。あなたも、今週末に手元で確認できます。

③ 実際に効くか試した結果 → 残念ながら、採用されませんでした

ここが本題です。結論から言うと、残念ながら、この材料はAIに採用されませんでした。

やったことは単純で、この材料を入れたAIと、入れないAIを作って、同じレースで勝負させました。さらに、材料の中身をシャッフルしてデタラメにしたAIも用意して、3つのAIを比べています。デタラメなものと差が出ないなら、その材料には意味がないということです。

形を変えて3通り試しました。「1日の騎乗数そのもの」「1鞍だけの日かどうか」「12鞍の日かどうか」。それぞれを未勝利戦と1勝クラス以上、単勝と複勝、合わせて12通り試しています。

結果は12通りすべてで、意味のある差が出ませんでした。一番良かったものでも、私が「これ以上でないと効いたとは言えない」と決めている線の7割ほど。しかも乱数の設定を変えるだけで消えてしまう程度の差です。

正直に言えば、拾いたい気持ちはありました。回収率でこれだけ差が出ているのだから、何かあるはずだと。でも数字が「要らない」と言っている以上、そこで粘るのは自分に都合のいい理屈を探しているだけです。採用されなかったので、私はこの結果を受け入れることにしました。

それでも諦めきれず、形を変えて7通り追加しました

ここで終わらせたくありませんでした。

私の考え方は、こうです。1個の材料で回収率100%を狙うより、薄い信号をたくさん束ねる。だからほんのわずかでもプラスなら拾いたい。マイナスなものと、効かないものだけ捨てる。

そこで、12鞍だけでなく別の切り方も試しました。

やり方は先ほどと同じです。その材料を足したAIと、足さないAIを作って、同じレースを予想させます。予測が当たりに近づけば「良くなった」、遠のけば「悪くなった」。それだけの話です。

「当てはまる割合」は、全騎乗のうち何%がその条件に当てはまるかです。ここが小さすぎると、そもそも差が出ているのか分かりません。12鞍は0.9%しかなく、これが最大の壁でした。だから、もっと広い条件を選んでいます。
▼ 中央競馬で騎手が騎乗した馬だけを数えた表です。全騎乗のうち各条件に当てはまる割合と、その材料を足したAIの予測の変化を並べています。

試した形 当てはまる割合 結果
9鞍以上か19.2%足したAIのほうが、予測が悪くなった
7鞍以上か42.7%足したAIのほうが、予測が悪くなった
1〜2鞍だけか13.5%少し良くなった(あとで消えた)
その日の何鞍目か全部良くも悪くもならなかった

「その日1〜2鞍だけの騎手」だけが、未勝利戦の単勝で生き残りました。わずかですがプラス。年で分けても両方プラス。ここは正直、嬉しかったです。

ただし、ひとつ気になりました。乱数の設定を3通りしか試していません。たまたま都合のいい設定を引いただけかもしれない。

そこで8通りに増やして、もう一度測りました。

消えました。差は半分近くまで縮み、ばらつきのほうが大きくなりました。3通りで見えていたのは、乱数の運でした。

形を変えて何度も試しましたが、拾えるものはありませんでした。採用できそうな条件が1つ出ましたが、確かめ直したら予測の改善は残りませんでした。

なぜ効かなかったのか

回収率にはっきり差があるのに、AIに足しても賢くならない。矛盾しているようですが、理由ははっきりしています。

私が3年かけて積み上げてきた材料が、すでに同じことを言っていたからです。

ここは誤解されたくないので、はっきり書いておきます。AIが勝手に賢いわけではありません。私のAIには現在3,784個の材料が入っています。その材料はどれも、今回と同じように、思いついて、数えて、試して、生き残ったものです。そのうち何十本かは騎手に関する材料です。

「この騎手は最近どれだけ依頼を集めているか」「どのクラスでよく乗っているか」「どのコースで多く乗るか」——そういう材料が何十本も積み重なっていれば、その結果として『1日に何鞍乗る騎手か』も分かってしまうのです。1日の騎乗数は、それらを別の言い方で言い直したものにすぎませんでした。

つまり3,784個の材料がなければ、今回の発見は「新しい情報」として採用されていたかもしれません。積み上げてきたからこそ、新しいものが入りにくくなる。これは材料が増えるほど当たり前に起きることで、むしろ健全な状態だと思っています。

新しく足した材料が既にあるものと同じ内容なら、入れる意味がありません。むしろ材料が増えるぶん、予想がブレる原因になります。だからAIは「要らない」と判定したわけです。理屈としては、まったく正しい。

では、この発見は無駄だったのか

そうは思いません。「1鞍だけの日は単勝の回収率59%」という事実は、事実のままです。採用されなかっただけで、数字が間違っていたわけではありません。

むしろ「AIはもうこれを知っていた」と分かったこと自体が収穫です。自分のAIが何を見ていて何を見ていないのかは、こうやって材料を1つずつ試さないと分かりません。落ちた材料の数だけ、AIの中身が見えてきます。

私はこういう作業を、毎週やっています。思いついたものを片っ端から試して、そのほとんどが落ちる。材料を10個試して、使える材料が1個残ればいいほうです。派手さはありませんが、この積み重ね以外に道がないと思っています。

そして人間が印を打つときには、頭の片隅に置いておく価値はあります。出馬表を見て「この騎手、今日1鞍だけか」と気づけるのは人間の目です。

最後に:私が測り方を1回間違えた話

この検証で、私は一度、間違った測り方をしました。正直に書いておきます。

「12鞍の日が良いのは偶然ではないか」を確かめるとき、騎乗を1件ずつバラバラに選んで比べていました。しかし12鞍というのは1人の騎手の1日がまるごと単位です。同じ日・同じ騎手の騎乗は、馬場も体調も同じなので互いに似ています。バラバラに選ぶと、この「かたまり」の効果が消えて、実際よりばらつきが小さく見えてしまう。

日ごと・騎手ごとのかたまりで選び直したら、ばらつきは1.8倍になりました。つまり最初の測り方は、珍しさを過大評価していたわけです。

そのうえで、私は今度は逆に厳しく判定しすぎました。「これは偶然の範囲だ」と切り捨てそうになったのです。でも複勝の回収率では、6年とも全体を上回っていたという別の事実があります。もし本当にただの偶然なら、上回る年と下回る年が半々くらいになるはずです。良い数字を疑うのは大事ですが、疑いすぎて本物を捨てるのも同じくらい怖い——これも今回の収穫でした。

数字そのものより、その数字がどうやって測られたか。ここを見ないと、簡単に間違えます。

この説を確かめたきっかけ

競馬中継を見ていて、ふとこう思ったことがあります。

その日1鞍しか乗らない騎手は、騎乗する1頭のことだけ考えていればいい。前日から1頭ぶんだけ調べて、じっくり考えて、万全で挑める。これは成績が良いのではないか。

逆に1日12鞍、朝から晩まで乗り続ける騎手はどうでしょう。1頭にかけられる時間は12分の1。しかも後半のレースになるころには、体力も集中力も削られてへとへとのはずです。これは成績が悪いのではないか。

まとめ

  • 「騎乗数が多いほど回収率が下がる」説は外れ。むしろ1鞍の日が悪く、12鞍の日が良い。ただし効くのは両端だけ
  • 1鞍だけの日は買わない(複勝の回収率65%・単勝59%)
  • 12鞍の日は少し良い(複勝85%・単勝88%)。複勝の回収率では、6年とも全体を上回った。ただし100%は超えていないので、買えば負ける
  • 3〜11鞍は誤差の範囲。「よく乗っている=好調」ではない
  • 複勝率は鞍数とともに上がるが、回収率は横ばい。当たる条件と儲かる条件は別物
  • 「疲れ」はあった。ただし9鞍以上乗る騎手の、10鞍目以降の騎乗馬だけ(人気から期待される率を2.2%下回る)。8鞍までなら影響なし
  • それでも「12鞍の日が良い」は残る。クラスで分けても、1勝クラス以上・未勝利のどちらでも差が出た
  • 形を変えてあと7通り試したが拾えず。条件が1つ生き残ったが、乱数の設定を増やしたら予測の改善は残らなかった
  • 残念ながらAIには採用されなかった。12通り試して全滅
  • 理由は私が積み上げてきた3,784個の材料が、すでに同じことを言っていたから。AIが勝手に賢いわけではない
  • ただし数字が間違っていたわけではない。人間が出馬表を見て気づく材料としては有効

よくある質問

騎手が1日に何鞍乗るかで、本当に成績が変わるのですか?

変わります。ただし変わるのは両端だけです。1日1鞍だけの日は複勝の回収率65%(全体72%)、12鞍の日は85%。3鞍から11鞍まではほとんど差がありません(69〜77%)。なお85%も100%には届いていないので、12鞍の日を買えば儲かるという話ではありません。

たくさん乗っている騎手は好調ということですか?

そうとは言えません。複勝率は鞍数が増えるほど上がりますが(1鞍16.8%→12鞍32.7%)、これは人気馬に乗っているからです(平均人気が8.9番から5.5番へ下がる)。回収率で見ると3鞍から11鞍まで横ばいなので、「よく乗っている=好調」ではありません。

1鞍だけの騎手は、なぜ成績が悪いのですか?

理由は記事では断定していません。分かっているのは数字だけです。1鞍だけということは、その日にその馬しか依頼が来ていない状態で、複勝の回収率65%・単勝59%と、全体よりはっきり低く出ています。1万5千回ぶんのデータなので、偶然ではありません。

複勝率が高いのに回収率が上がらないのはなぜですか?

よく来る馬は人気になって、配当が下がるからです。当たる確率が上がったぶん、もらえる金額が減るので、手元に残るお金は変わりません。当たる条件と儲かる条件は別物だということです。

この情報はAIの材料に使えますか?

残念ながら、採用されませんでした。騎乗数は前日の出馬表を見れば数えられるので、条件としては問題ありません。しかし実際に入れたAIと入れないAIを勝負させたところ、12通り試して全部、意味のある差が出ませんでした。理由は、私が3年かけて積み上げてきた3,784個の材料が、すでに同じことを言っていたからです。そのうち何十本かは騎手に関する材料で、それらが積み重なると『1日に何鞍乗る騎手か』も分かってしまいます。数字が間違っていたわけではなく、私のAIにとっては新しい情報ではなかった、ということです。

集計はどうやったのですか?

2021年2月から2026年7月までの中央競馬259,785騎乗を対象に、騎手ごと・日ごとに騎乗数を数えました。複勝の回収率は実際の払戻データで計算しています(オッズの帯から概算すると数字がずれるためです)。


今回の騎乗数の材料は、私のAIには採用できませんでした。それでも、複勝の回収率65%の条件と85%の条件を見分けられたことは、出馬表を見る手がかりになります。これだけで儲かるとは言えませんが、感覚だけで良し悪しを決めず、買う前に立ち止まる理由は増えました。あなたも出馬表で騎乗数を数えれば、私と同じように、複勝の回収率65%だった騎手の騎乗馬を買おうとしていないか確かめることができます。私が先に転んでおくので、あなたは同じ思い込みで馬券を買う前に、この結果を使ってください。採用できなかった材料も含めて、私はこうした検証を毎週このブログに書いていきます。

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