三連複や三連単を買うとき、点数をどこまで広げるか。これは毎レース必ずぶつかる問題です。
私は毎週150万円を馬券に入れていて、買い目は自作の予想AIが自動で組んでいます。その買い目の「どこまで買うか」を、1,652レース分の実データで6段階に振って測りました。この記事では、その結果と、同じことをご自分の買い目で確かめる手順を書きます。
先に言葉の約束を1つだけ。「ポイント」という書き方が出てきますが、これはパーセントどうしの引き算のことです。回収率82.2%が91.3%になったときに「9.1ポイント上がった」と書きます。「9.1%上がった」ではありません。
▶ 私が毎週150万円を賭けながら3年かけて作った競馬予想AIの全体像は、「競馬予想AIの作り方・完全ガイド」に最初から順にまとめています。
結論から。三連複は買い目を絞ったほうが回収率は上がります
三連複を絞らずに全部買うと回収率82.2%。確率の高い順に上位70%だけ残すと91.3%です。9.1ポイント違います。
ただし同時に、的中率は26.5%から24.6%へ下がります。絞るというのは「回収率と的中率を交換する」ことであって、両方が良くなる魔法ではありません。ここを取り違えると、絞りすぎて当たらない馬券になります。
実測がこちらです。

上から下へ、買い目を減らしていったときの変化です。平均14.9点が7.4点まで減る間に、回収率は82.2%から93.6%まで一直線に上がり、的中率は26.5%から21.9%まで一直線に下がっています。途中で折れ曲がったり、行ったり来たりしていません。この「きれいに一直線」というのが、まぐれではない形です。
「絞る」とは、具体的に何をすることか
私のやり方は単純です。
まず、買う候補の組み合わせを全部並べます。三連複なら「本命を含んでいて、消し馬を含まない全部の組」です。次に、その組が的中する確率をAIに計算させて、高い順に並べます。そのうえで、上から数えて何%までを買うかを決める。それだけです。
ここで大事なのは、切る基準を「オッズ」ではなく「確率」にしていることです。オッズで切ると「人気だから買う・不人気だから切る」になってしまい、自分の予想を使っていないことになります。自分の予想が出した確率で切るから、予想の良し悪しが結果に出ます。
数字が良く見えても、そのまま乗り換えてはいけません
さきほどの表をもう一度見てください。上位50%まで絞ると93.6%で、いまの本番(上位70%)の91.3%より高く出ています。ここで「じゃあ50%に変えよう」とやるのが、いちばんよくある失敗です。
なぜ失敗かというと、その差が、たまたま当たった数本の高い配当で作られているかもしれないからです。三連複は当たったときの配当が大きいので、1本の的中で回収率が何ポイントも動きます。
そこで私は、必ずこういう測り方をします。同じレースを引き直しながら、何千回もやり直して、差がどのくらいの幅で動くかを見るやり方です。統計の言葉ではブートストラップと呼びます。難しく聞こえますが、やっていることは「同じ材料でくじを何千回も引き直して、答えがどれくらいばらつくかを見る」だけです。

いまの本番(上位70%)を基準にして、それぞれの案が同じレース・同じ予算でどうだったかを並べたものです。いちばん右の「本番より良い確率」を見てください。
上位50%は、たしかに平均では2.4ポイント上でした。でも「本番より良い確率」は70.2%しかありません。10回に3回は本番のほうが良い、という程度の差です。私はここに95%という関門を置いていて、これを超えないかぎり乗り換えません。だから上位50%には変えませんでした。
逆に、絞るのをやめる(上位100%にする)のは、本番より良い確率が7.6%しかありません。つまり92.4%の確率で悪くなるということです。ここははっきりしています。絞るか絞らないかは決着していて、どこまで絞るかは決着していない。これが正直なところです。
三連単でも同じ形になります
三連複だけの話ではありません。三連単のほうも、相手を何頭まで広げるかを4段階で測りました。

相手を4頭から7頭へ広げていくと、的中率は6.0%から9.6%へ上がり、平均点数は9.6点から22.3点へ増えます。そして回収率は、相手6頭の110.3%を頂点にして、7頭では101.9%に下がります。
ここでも同じことが起きています。点数を増やせば当たるようになるが、当たり方が薄まる。買い目を絞るというのは、この交換のどこに立つかを決める作業です。
ちなみに、この表でも私は本番を7頭のまま変えていません。6頭のほうが8.3ポイント高いのですが、「本番より良い確率」が90.5%で、95%の関門に届かなかったからです。1年ぶん近いデータで測っても、まだ足りないということです。
100%を関門にしないでください。まず土台を超えているかで見ます
ここが、私が長いこと間違えていたところです。
馬券は買った時点で、売上の一部をJRAが取る仕組みになっています。三連複なら25%、三連単なら27.5%です。つまり全部の組み合わせを機械的に買い続けると、回収率は三連複で75.0%、三連単で72.5%に近づきます。これが土台、つまり何も考えずに買ったときの水準です。
ここを知らずに「91.3%だから100%に届いていない、ダメだ」と読むと、判断を完全に間違えます。土台75.0%に対して91.3%なら、16.3ポイント上に出ているわけで、予想としては明確に機能しています。
私は自分の検証で「100%を関門にしない。まず土台を超えているかで読む」というのを決まりにしました。100%を最初の関門にすると、機能している予想まで全部「ダメ」に見えてしまい、本当に直すべき場所が分からなくなるからです。
「点数を減らす」やり方は、名前が違うだけで全部同じでした
買い目を減らす方法として、私は3つの案を別々に測らせました。
- 確率の高い順に上位何%だけ残す
- 当たっても投資額を下回る買い目(いわゆるトリガミ)を外す
- 狙った的中率に届いたところで打ち止めにする
結果は拍子抜けでした。3つとも中身は同じだったのです。どれも結局「点数を減らす」ことをしているだけで、回収率が上がって的中率が下がる、同じ1本の線の上に乗っていました。名前と説明が違うだけです。
これが分かってから、私は買い目の議論がずいぶん楽になりました。減らし方をあれこれ工夫するより、「何点にするか」を1つ決めるほうが早い。工夫しているつもりで同じことを3回測っていた、というのは、けっこう大事な発見でした。
では、どこまで絞るのが正解なのか
正直に書くと、まだ決着していません。上位70%・60%・50%のどれが最善かは、1,652レースでは区別がつきませんでした。
そのうえで、私が今どうしているかを書きます。
いまは上位70%のままです。理由は2つあります。1つは、95%の関門を超えた案が1つも無かったこと。もう1つは、絞りすぎると的中率が落ちることです。上位50%まで絞ると的中率は21.9%まで下がります。予想を出して見ていただく立場としては、当たらない予想には価値がありません。回収率だけを追いかけて的中率を捨てるのは、私の場合は間違いです。
だから私の順番はこうです。まず「絞る/絞らない」を決める。ここは絞るで決着している。そのうえで、どこまで絞るかは的中率が耐えられる範囲でいちばん浅いところに置く。迷ったら浅いほうです。
ご自分の買い目で同じことを確かめる手順
特別な道具は要りません。過去の買い目と結果が手元にあれば、表計算ソフトでもできます。
まず、過去に買った全部の組み合わせを、そのときの自分の評価が高い順に並べ直します。次に、上から何%までを買っていたことにするかを、100%・90%・80%……と何段階かに切って、それぞれの回収率と的中率を出します。ここまでで、さきほどの1枚目のような表ができます。
大事なのは次です。回収率がいちばん高かった段を、そのまま採用しないこと。いちばん高かった段から、当たった配当の大きい順に上位3本を抜いて、もう一度回収率を計算してみてください。そこで順位が入れ替わるようなら、その差は数本の的中が作っていただけで、来週も同じことが起きる保証はありません。
もう1つ。期間を前半と後半で割って、両方で同じ向きが出ているかを見てください。前半だけ良くて後半は逆、というのは私も何度も踏みました。半分に割って符号(プラスかマイナスかの向き)がひっくり返るものは、まだ結論を出す段階にありません。
「何点買うか」の前に、もう1つ分かれ道があります。誰を相手にするか
ここまでは「買い目をどこまで絞るか」の話でした。ただ、読んでくださっている方からすると、その手前にもっと大きい分かれ道があります。本命の相手を誰にするかです。
私の予想では、◎の次に付ける印(○▲△)は「予測勝率 × 予想オッズ」が高い順に決めています。つまり期待値の順です。期待値というのは「勝つ確率×配当」をかけ合わせた数字のことで、1を超えていれば理屈のうえでは買って得、という数字です。確率が低くても配当が大きければ数字は上がるので、○▲△には、そこそこ人気のない馬が入ります。単勝や複勝を狙うならこれでいいのですが、三連複は3頭とも3着以内に来ないと当たりません。ここで話が変わってきます。
そこで、◎は1頭も動かさずに、○▲△だけを「AIの予測複勝率が高い順の3頭」に入れ替えて、◎を軸にした三連複3点を1,651レース分そっくり買い直してみました。同じレース・同じ点数・同じ金額なので、そのまま比べられます。

的中率は9.9%から15.2%へ、1.5倍になります。回収率も83.7%から95.2%へ、11.5ポイント上がりました。数字だけ見ると、乗り換えたくなる大きさです。
この11.5ポイントを、お金に直しておきます。1レース300円ずつ1,651レース買うと、使うお金は合計49万5,300円です。いまの印なら戻りが41万4,566円、複勝率の上位3頭なら47万1,526円。差はおよそ5万7,000円です。半年ぶんの三連複で、それだけ違う計算になります。
ですが、ここからが大事なところです。私はまだ自分の印を変えていません。理由を3つ書きます。
1つめ。「いまの印より良い確率」が78.6%しかありません。この記事でずっと書いてきた95%の関門に届いていません。
2つめ。前半と後半で順位が入れ替わります。いまの印は前半98.0%→後半71.5%、複勝率の上位3頭は前半76.0%→後半111.7%です。半分に割って向きがひっくり返るものは、まだ結論を出す段階にありません。これはさきほど書いた自分の決まりに、そのまま引っかかります。
3つめ。これがいちばん意外でした。比べるために「予測勝率の上位3頭」でも同じことをやってみたら、96.7%で、複勝率版と同じか、むしろ上だったのです。つまり「複勝率という物差しだから効く」のではありません。効いているのは、いまの○▲△が期待値の順=穴馬寄りなので、三連複とは相性が悪い、という部分です。ここを取り違えると、「複勝率で相手を選べば儲かる」という間違った話になります。
正直に書いておくと、無作為に3頭選んだ「にせもの」でも的中率7.7%・回収率82.0%でした。いまの印の9.9%・83.7%は、それに近いところにいます。三連複の相手として見たときの私の○▲△は、胸を張れる出来ではありません。
もう1つ。相手を4頭に広げると、この違いはほとんど消えます(差は0.5ポイント)。相手を3頭に絞って組むときにだけ出る違いだということです。
ご自分の予想で確かめる手順
やることは簡単です。本命はそのままにして、2番手から4番手だけを「自分がいちばん3着以内に来ると思う順」に付け替えて、過去の三連複を買い直してみてください。
的中率が動くかどうかは、数十レースでも見えます。相手を堅く取れば当たりやすくなるのは当たり前だからです。問題は回収率のほうで、こちらは前半と後半に割って同じ向きが出るかまで見ないと、動いたのかどうか分かりません。私の1,651レースでも、まだ分かっていません。
まとめ
- 三連複は絞ったほうが良い。全部買うと82.2%、上位70%で91.3%。絞らない選択が本番より良い確率は7.6%しかない
- 絞るのは回収率と的中率の交換。点数を減らすほど回収率は上がり、的中率は下がる。両取りはできない
- どこまで絞るかは、まだ決着していない。1,652レースでは上位70%・60%・50%を区別できなかった
- 100%を関門にしない。三連複の土台は75.0%、三連単は72.5%。そこを超えているかで読む
- 「点数を減らす」3つのやり方は全部同じ線の上にある。減らし方を工夫するより、何点にするかを決めるほうが早い
- 「何点買うか」の前に「誰を相手にするか」がある。◎の相手を予測複勝率の上位3頭にすると的中率は9.9%→15.2%。ただし回収率が上がったかどうかは、まだ決着していない
おわりに
買い目を絞るというのは地味な作業です。新しい予想ロジックを作るような華やかさはありません。それでも1,652レースで9.1ポイント動くのですから、効き方としては相当に大きいほうです。しかも、予想の精度を1ミリも上げなくても、買い方を変えるだけで手に入ります。
私はこれを、実際に毎週150万円を張っている自分の買い目で測っています。うまくいった話も、乗り換えようとして関門に引っかかって止めた話も、数字ごと全部このブログに書いています。私が先に転んでおけば、読んでいる方は同じ穴を踏まずに済みます。次は「どこまで絞るか」に決着をつけたいと思っていて、そのためにデータを貯めているところです。ここから先も、続けて書いていきます。
この内容を実際に使った週の実戦記録(買い目と収支つき)はこちらです。→ 三連単と三連複はどちらが勝てるか|3年分の実測で出た答え



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